感情的になるな

事の発端は本当に些細なことでした。昨夜、家族全員が寝静まっている頃、唯一息子だけがなかなか寝付く事が出来ず、時間潰しの為にずっと集めていたたくさんのポケモントレッタのカードで大きなピラミッドを作っていたんです。しかし翌朝、みんなに自慢しようと夜な夜な1時間以上の時間を費やしやっとの思いで完成させたピラミッドを好奇心の塊でもある5歳の娘が崩してしまいました。それに対し息子は娘に激昂したのです。そんな光景を見たかみさんが二人に割って入り間をとりもつもののなかなか収拾がつきません。一方遊び盛りの五歳の娘はなぜ息子に怒られているのかの理由すらわかっていない様子で、兄である息子の言うことには大して耳を傾けず傍らのおもちゃで笑顔で遊んでいました。そんな娘を見て息子は余計に怒りを募らせているようでした。そんなやり取りを寝起きの自分は会社の支度をしながら遠目で聞いておりました。しかし一向に口論が収まりそうにありません。かみさんも見るからにお手上げの状態だったので寝坊して出勤時間に間に合わなくなる焦りもあった自分はつい相まって感情的になって息子を怒ってしまったのです。

 

その後自分は家を飛び出すように出ていき通勤途中の車のなかで、なぜあんなことを言ってしまったのだろうと今にも滝のように流れ出そうな涙を堪えていました。

 

・・二十数年前、自分がまだ中高生の頃、家では夫婦喧嘩が連日のように行われていたんです。それを止める為に自分が親二人の間に入りお互いの意見を聞いてなだめようとするも一向に収まる気配はありません。そのため段々感情が高ぶってきて最後には自分のどこかのネジが外れて家中の家具や電化製品をめちゃめちゃにしてしまう程大暴れしたんです。結局話し合いでどうしようもなくなったから実力行使に出たわけです。その結果、親父の大切にしていたパソコンを壊してしまった瞬間、時が止まったかのように夫婦喧嘩が収まったのです。自分は茫然と立ち尽くしました。感情的に怒りをあらわにしても何一つ良いことなんて無い。もう今日限りで感情的になって怒る事は一生やめよう。強く心に誓ったんです。

会社についてからもずっと今朝の一件が頭から離れず、帰ったら息子に謝ろうとかお土産を買っていこうとか色々悩んではまともに仕事が手につきませんでした。

 

翌日に息子に謝ったらケロッとしている様子で、いいよと言いながらいつものように友達とNintendo Switchのフォートナイトを夢中になってプレイしていました。

 

子供の方がよっぽど立派だ。

 

ここでまた二十数年ぶりに何がなんでも、絶対に、一生、


【感情的にならない】


と心に誓った・・という話です。